一度は行ってみたいとっておきの名所を訪ねる旅

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まるで荘厳な神殿のような巨大地下空間 大谷石採掘場跡に入ってみたよ

大谷資料館(大谷石採掘場跡)

大谷石は軽くて加工がしやすく耐火性に優れた石材で、今でも建材として人気がある。耐火性と蓄熱性の高さからピザを焼く窯などにも使われる。

 

栃木県宇都宮市大谷町付近一帯は、大谷石の産地として長い歴史がある。本格的な採掘が始まってから、膨大な量の石が地中から切り出されてきた。

 

大谷町を中心に産出される大谷石は、東西約8km、南北約37kmに分布している。大谷石は、今から約2000万年前の海底火山の噴火により噴出した火山灰が海底に堆積してつくられたもの。地質学上の名称は「凝灰岩」というそうだ。

 

大谷石の採石は江戸時代に農家の副業として始まり、明治時代に入り産業として発達した。当初は露天掘りといって、地上に現れている岩を採石する手法が用いられていた。

 

現在の採石場所は、地下数十メートルから百メートル以上もあるところに移っている。採掘された地下空洞の広さは、全体で東京ドーム12個分に相当するといわれている。

 

大谷資料館ではその採掘場の跡地の一部が公開されている。ライトの光に浮かび上がる壁や天井は美しく、採掘場というよりも巨大な地下神殿のように見える。まるでエジプトのピラミッドの内部にいるような、映画インディ・ジョーンズの世界観のような幻想的な空間が広がっている。地下に眠る古代の神殿だといわれても信じてしまうような雰囲気だ。

 

坑内の平均気温は8℃前後で、地下の大きな冷蔵庫といった感じだ。自分が行ったときは、2℃だった。ここは戦争中は地下倉庫や軍需工場として、戦後は天然の貯蔵庫としても利用された。

 

現在ではコンサート会場として利用されたり、ドラマや映画の撮影なども多く行われている。

 

 採掘場に入る前の建物の中には展示室があり、かつて手掘り作業に使われたつるはしや、当時の作業風景の写真などが展示されていて、それを見ると昔の過酷な石の切り出し作業の様子を知ることができる。

 

採掘が本格的に始められた江戸時代中期頃から、機械化になる昭和34年頃までは手掘りでの作業が行われたそうだ。その時の採掘の道具、服装、採掘方法に関する資料などを見ることができ、当時の苦労の様子がよくわかる。

 

その後、石を切断する機械は著しく進歩したが、ここでは初期の機械や、近年の採掘・裁断機も展示されている。

 

こちらが大谷資料館の入り口。

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これが展示室。採掘の道具などが展示されている。

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これを使ってあの巨大な穴を掘ったとは、かなりたいへんな作業だったに違いない。

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この階段を使って採掘場跡へ降りていく。

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地下に広がる巨大な空間。

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古代の遺跡のようだ。

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階段の上にいる人と比べてみると、その大きさがわかっていただけると思う。

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坑内にはイルミネーションもあり、常に音楽が流れている。

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ここでコンサートを行った歌手や、ドラマや映画の撮影の様子が写った写真がズラリと並んでいる。

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大谷資料館の近くに、大谷石の岩肌や垂直に切り立った岩壁が連なる大谷景観公園がある。国の名勝にも指定されている。

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大谷の奇岩群。このあたりでは不思議な形をした大谷石の岩の造形を見ることができる。

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 大谷資料館へのアクセス

●電車・バス

・JR宇都宮駅西口バスターミナル6番乗り場から関東バスの大谷・立岩行きに乗り、「資料館入口」バス停で下車。所要時間は約30分。バス停から徒歩約7分。

・上記のバスは東武鉄道東武宇都宮駅を通るので、東武宇都宮駅からも乗ることができる。

 

●車の場合

東北自動車道宇都宮ICから、12分(8km)。

東北自動車道鹿沼ICから、20分(13km)。

 

感想・気づいたこと

●採掘場跡の地下の空間はかなりスケールが大きい。地下の巨大な神殿・宮殿といった感じ。通路は整備されており、照明も適度の明るさ。イルミネーションがあったり、音楽が流れていたりと雰囲気もいい。

 

●坑内では、多くの映画やTV番組・ドラマ・CMの他、ミュージックプロモーションビデオの撮影なども行われており、有名人も多数訪れている場所。

 

●近くを流れる姿川沿いには大谷の奇岩群と呼ばれているところがあり、不思議な形をした大谷石の岩を見ることができる。また周辺には、大谷寺(大谷観音)や平和観音などの見どころもあるので、セットで訪れるといい。

 

●入館料は大人700円、小人(中学生以下)350円。観覧に必要な時間は40分~1時間くらい。

 

●駐車場はけっこう広い。

駐車場の背後にも巨大な大谷石の岩壁がそびえる。

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