東洋のナイアガラと呼ばれている群馬県沼田市の吹割の滝の紅葉と面白い伝説
吹割の滝
吹割の滝(ふきわれのたき)は、高さ7m、幅30mにおよぶ滝で、東洋のナイアガラと呼ばれている。
川底の割れ目に左右から水が流れ落ちる独特の形状をしており、その滝壺から水しぶきが吹き上がる様子からこの名がついたと考えられている。
昭和11年に国の天然記念物に指定された。また、「日本の滝100選」にも選ばれている。
遊歩道や観瀑台から眺める滝と紅葉は圧巻だった。
吹割の滝にまつわる伝説
昔、追貝村(おっかいむら)に重兵衛という地主が住んでいた。重兵衛は吹割の滝の近くでしょっちゅう釣りをしていた。
滝の上にきれいな虹が出ている日にいつものように釣り糸を垂れていると、「重兵衛、重兵衛」と呼ぶ声がした。吹割の滝の方を見るときれいな姫の姿が見えて、しばらくすると消えてしまった。
近くの岩の上に手紙が置いてあったので、拾って開けてみると滝壺に住んでいる竜宮城の乙姫様からの手紙だった。その後、重兵衛と乙姫は毎日のように手紙を交わした。
ある日、重兵衛は祭りのときにお膳とお椀を使って客をもてなしたいと乙姫に手紙を書いた。次の日、滝のそばへ行ってみると漆塗りのお膳とお椀が十数人分置いてあった。そして祭りのときにそのお膳とお椀を使って良いもてなしをした。
その後も村で冠婚葬祭などで人が集まるときには、竜宮からお膳とお椀を貸してもらうようになった。使った後は岩の上に置いておくときれいに消えてなくなっていた。
ところがあるとき、貸してもらったお膳とお椀を返すときに、一組返し忘れてしまった。重兵衛は気が付いて急いで返しに行ったが、受け取ってもらえなかった。それからは手紙も来なくなり、お膳もお椀も貸してもらえなくなってしまった。
今でも地主の重兵衛の家には、返し忘れたお膳とお椀が宝物として大事にしまってあるという。
参考:「吹割の滝物語」沼田市東部商工会編。
吹割の滝へのアクセス
公共交通機関
JR沼田駅で下車し、関越交通バスの老神温泉経由鎌田・戸倉・大清水方面行きに乗り、「吹割の滝」で下車。所要時間は約55分。バス停から徒歩10分。
車
関越自動車道沼田ICから、ロマンチック街道(国道120号線)で約20分。
吹割の滝の入り口付近には売店や食事処が並んでいる。滝へ降りる道の途中にある「十割そば 水石(すいせき)」で、おしること山菜てんぷらをいただいた。
川へ降りてまず目に飛び込んできたのは、落差約15mの鱒飛の滝。鱒が海から上がってきても、ここで上流に行けずに止まってしまうことから、昔は鱒止の滝と言われた。それがいつしか鱒飛の滝と呼ばれるようになったとか。
吹割渓谷に沿って設けられた遊歩道を上流に向かってすすむ。
吹割の滝。
上流側から見た吹割の滝。この滝壺の中に竜宮城があるなんて、なんとも夢のある話ではないか。
吹割の滝からさらに上流へすすむ。二つの橋の間にあるのが浮島。
浮島には、江戸時代の名工左甚五郎の作と伝えられる「如意輪観音」を祀る観音堂がある。左甚五郎は観音像を一夜にして彫ったと伝えられている。
橋を渡り、対岸の遊歩道を歩いてみた。これは途中で見つけたもみじ。
対岸には第1~第3までの3つの観瀑台がある。この写真は、第1観瀑台から見た吹割の滝。
第3観瀑台から見た吹割の滝。
感想・気づいたこと
・吹割の滝そのものも見ごたえのある滝であるが、滝周辺の渓谷美がまた素晴らしい。
・渓谷沿いに周遊することのできる吹割渓谷遊歩道が設けられており、1周約2km、所要時間約1時間で散策を楽しむことができるコースとなっている。バス停のあるところから吹割の滝まで歩いて、また同じ道を引き返してもよい。あるいは浮島観音堂まで行って同じ道を引き返してもよい。遊歩道を1周するなら、浮島に架かっている橋を渡って対岸に渡り、対岸に設けられた道を歩く。その道の途中には第1~第3までの3つの観瀑台があり、別の角度から吹割の滝を見ることができる。備え付けの熊よけの鐘を鳴らしながら歩き、バス停のあるところまでぐるりと1周できる。
・吹割の滝バス停付近には、売店や食堂が並んでおり、もちろん駐車場もある。
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